●詩人 サムエル・ウルマンについて
1840年4月13日、ドイツでユダヤ人両親の長男として南独ヘンシンゲンで誕生。その後、ユダヤ人迫害から逃れるために、自由を求めて両親とともにアメリカに移民。アメリカでは、市の教育者として、またユダヤ教のレイラビ(精神指導者)として、そして実業家として幅広く精力的な奉仕活動を続けていました。
1920年4月、ウルマン80歳の誕生日を祝って、家族はウルマンが長年書き留めた詩をまとめ、「80歳の頃から」とういう名の詩集を出版。晩年のウルマンは、84歳の生涯をバーミングハム市で閉じるまで数編の詩をつくりましたが、「青春の詩」はウルマンが70代で書いたものです。
●青春の詩とは
「青春の詩」には、“青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方である…”という有名な一節があります。1945年に「リーダーズダイジェスト米国版」が、“HOW TO STAY YOUNG”のタイトルで掲載後、日本ではGHQのマッカーサー司令官の執務室に飾られたことや、1958年、森平三郎氏が群馬県桐生市の東毛毎夕新聞に、格調高い日本語の詩として岡田義夫氏訳の「青春」を紹介したことにより広がりはじめました。その後、1982年に宇野収氏が日本経済新聞に「青春」の一部を紹介。徐々に多くの人の間で反響を呼び、共感と感動を与えながら、今日に至ります。
“YOUTH”
Samuel Ullman
Youth is not a time of life; it is a state of mind ; it is not a matter of rosy cheeks, red lips and supple knees ; it is a matter of the will, a quality of the imagination, a vigor of the emotions, it is the freshness of the deep springs of life.
Youth means a temperamental predominance of courage over timidity of the appetite, for adventure over the love of ease. This often exists in a man of sixty more than a boy of twenty. Nobody grows old merely by a number of years. We grow old by deserting our ideals.
Years may wrinkle the skin, but to give up enthusiasm wrinkles the soul. Worry, fear, self-distrust bows the heart and turns the spirit back to dust.
Whether sixty or sixteen, there is in every human being’s heart the lure of wonder, the unfailing child-like appetite of what’s next, and the joy of the game of living. In the center of your heart and my heart there is a wireless station; so long as it receives messages of beauty, hope, cheer, courage and power from men and from the infinite, so long are you young.
When the aerials are down, and your spirit is covered with snows of cynicism and the ice of pessimism, then you are grown old, even at twenty, but as long as your aerials are up, to catch the waves of optimism, there is hope you may die young at eighty.
●青春の詩の翻訳について
「青春の詩」は、以下にご紹介する岡田義夫氏による翻訳のほかに、他の人々によっても翻訳されています。
翻訳文
原作 サミュエル・ウルマン
翻訳 岡田義夫
青春とは人生のある期間をいうのではなく、心の様相をいうのだ。
すぐれた創造力、たくましき意志、炎ゆる情熱怯懦をしりぞける勇猛心、
容易をふりすてる冒険心
こういう様相を青春というのだ。
年を重ねただけでは人は老いない。
理想を失うときにはじめて老いがくる。
歳月は皮膚のしわを増すが、情熱をう失う時に精神はしぼむ。
苦悶や、狐疑や、不安、恐怖、失望、
こういうものこそ、あたかも長年月のごとく人を老いさせ、
精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう。
年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものはなにか。
いわく驚異への愛慕心、空にきらめく星辰、その輝きにも似たる
事物や思想に対する欽仰、事に処する剛毅な挑戦、
小児のごとく求めてやまぬ探求心、人生への歓喜と興味。
人は信念とともに若く、疑惑とともに老ゆる。
人は自信とともに若く、恐怖とともに老ゆる。
希望ある限り若く、失望とともに老い朽ちる。
大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、
そして偉力の霊感を受ける限り、人は若さを失わない。
これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までもおおいつくし、
皮肉の厚氷がこれを固くとざすに至れば、
この時にこそ人はまったくに老いて、神の憐れみを乞うるほかはなくなる。